口ゴボは自力ではなく歯列矯正で治しましょう
こんにちは!船橋市のタワーサイド歯科室、歯科衛生士の藤野です。日本人には「口ゴボ」の症状に悩まされている方が比較的多くいらっしゃいます。口元のコンプレックスとなりやすく、なぜか自力で治そうとするケースも珍しくありません。今回はそんな口ゴボの正しい治し方について詳しく解説します。
目次
そもそも、口ゴボとは
口ゴボとは、歯並びや骨格の影響で口元がモコっと盛り上がった状態を意味します。正確には「上顎前突」や「上下顎前突」といった診断名がつき、歯科医院での矯正治療の対象となります。「口ゴボ」というのはあくまで俗称であって、専門用語ではありません。
口ゴボによる悪影響
口ゴボの場合、見た目とは別に次に挙げるようなリスクを伴います。
- 虫歯や歯周病にかかりやすい
- 前歯で食べ物が噛みにくい
- 奥歯に過剰な負担がかかる
- 口呼吸になりやすい
- 前歯に外傷を負いやすい
- 顎関節症のリスクが上がる
口ゴボの背景には歯並び・噛み合わせの異常や、お口の周りの筋肉の機能異常があることから、これだけたくさんのリスクを背負うことになります。口ゴボを放置すると、歯や歯周組織、顎の関節にまで悪影響が及ぶことがありますので十分に注意しましょう。
口ゴボは歯列矯正で治します
口ゴボの中で、歯並び・噛み合わせの異常や、お口の周りの筋肉の機能異常が原因となっているケースは、矯正治療で治すことができます。具体的な治し方は、それぞれのケースで変わりますが、その手段としてはワイヤー矯正かマウスピース矯正のどちらかを選択していただきます。
抜歯が必要なケース
歯の並ぶスペースが大きく不足していて、矯正治療において抜歯が必要な口ゴボのケースがあります。その中の一部に、ワイヤー矯正を一定期間必要とするケースがあります。抜歯矯正には、上下の小臼歯を全部で4本抜いて前歯を大きく後方移動させなければならないケースや、上顎の小臼歯のみ2本抜歯して後方移動されるケースなどがあり、これらの治療にワイヤー矯正はよく用いられる方法です。ワイヤー矯正を使用せず、最初から最後までマウスピース矯正で終えられるケースもあります。
ワイヤー矯正で口ゴボを治す場合、片顎のみでは450,000円程度、両顎では700,000円程度の費用(矯正施術料)がかかります。検査料、通院毎の調整料などが別途かかる点にご注意ください。症状・治療内容によって費用は変動します。
抜歯が不要なケース
スペースが足りていて、前歯の傾きや位置の調整で症状の改善が見込める口ゴボの場合、マウスピース矯正であるインビザラインで治療する事をお勧めします。なぜならば、治療後のイメージを治療開始前にシミュレーションで確認することができ、加えてシミュレーションの結果と実際の仕上がりとの違いを、ワイヤー矯正よりも少なくできるからです。
インビザラインは透明な樹脂製のアライナーを使って歯並びを治す方法で、装置が目立ちにくく、アライナーはご自身で取り外し可能、痛みや違和感が生じにくい、通院頻度が少なくて済む、などのメリットがあります。
インビザラインで口ゴボを治す場合、片顎矯正で300,000円程度から、全顎矯正では600,000~1,000,000円程度の費用(矯正施術料)がかかります。症状・治療内容によって費用は変動します。
口ゴボを自力で治してはいけません
ここまで、口ゴボを放置する悪影響と、歯列矯正で治す場合の方法や費用について解説しました。最近では“出来れば自力で治したい”と思われる方もいらっしゃるようで、インターネット上ではいろいろな体操やマッサージ、器具などが紹介されています。
例えば、「口呼吸」は口ゴボの原因として挙げられ、その対策としてお口の周りの筋肉を鍛え、お口を閉じるためのテープを使用することで口ゴボ改善が期待できるという情報を見ることがあります。しかしこれができるのは小学生までです。大人の方ではこれらの方法で口ゴボ改善はできません。
つまり結論からいうと、口ゴボは自力で治すことはできません。なぜなら、口ゴボは、歯並び・噛み合わせ・骨格の異常、お口の周りの筋肉の機能異常に由来することがほとんどだからです。
口ゴボを自力で治そうとすると、次に挙げるようなリスクが生じます。
歯・歯周組織を傷める
口ゴボを治すためには、歯に対して圧力を加える必要があります。自力で治すためにかけた力が強すぎると、歯が折れたり、歯茎・歯槽骨に炎症が生じたりします。逆に力が弱すぎると、歯に対して何ら影響を与えることがなく、当然ですが口ゴボの症状も治りません。
歯並びが悪くなる
歯に対して仮にバランスの良い力を与えられたとしても、その結果歯並びがかえって悪くなります。そもそも歯並びを自力で治そうとする場合は、矯正装置のような持続的な力を加えることが難しく、歯が全く動かないか、一時的に症状が良くなったように見えても、すぐに後戻りが生じます。
また、その他の歯にまで悪影響が及び、全体の歯並び・嚙み合わせを乱すこともありますので十分にご注意ください。
このように、口ゴボの症状を自力で治そうとすることは極めて大きなリスクとデメリットを伴います。自力で治そうとする前に、まずは歯科医院で専門家の意見を求めましょう。
子供の口ゴボについて
口ゴボの症状は、自力ではなく歯列矯正で治すのが原則ですが、子供に関しては少し話が変わります。歯や顎の骨の発育が途上にあり、生活習慣の見直しなどによって症状の改善が見込める場合もあるからです。次に挙げるような習癖がある場合は、大人よりも簡便な治療方法で口ゴボの症状を改善できるかもしれません。
口呼吸
口呼吸では、常にお口が開いていることから、前歯に唇からの圧力がかかりにくくなっています。その結果、前歯が前方へと傾き、口ゴボの症状を誘発します。
舌を前に突き出す癖(=舌突出癖)
舌を前に突き出す癖があると、上下の前歯が前方へと傾きます。舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)は、口ゴボだけでなく、開咬(かいこう)を誘発することがありますので適切な時期にご自宅でもできる訓練を歯科医院で指導してもらうと良いでしょう。
唇を噛む癖(=咬唇癖)
意外に見落とされがちですが、唇を噛む癖も歯並び・噛み合わせの異常をもたらします。とくに下唇を習慣的に噛んでいると、上の前歯が前方に傾いで口ゴボとなります。
これらの習癖・習慣はお子さんが無意識に行っているものなので、親御さんがその危険性を気付かせてあげてください。親御さんが説明してもなかなか改善しない場合は、歯科医院での相談をお勧めします。口腔習癖の治療にも精通しており、効果的な改善方法を提案してくれるでしょう。
例えば「プレオルソ」と呼ばれる小児矯正の装置を用いることで、歯並び・呼吸法・発音までの改善を手助けするご提案をしてもらえるでしょう。
お子様の口ゴボの症状を悪化させないためにも、適切な時期に悪習癖を取り除いておきましょう。
まとめ
今回は、口ゴボの症状や原因、自力で治すことの危険性について解説しました。口ゴボの正しい治し方は歯列矯正となりますので、その点はしっかりご理解ください。お子さんの口ゴボに関しては、異なるアプローチをすることもあります。口ゴボに悩まれたら、まずはお気軽に船橋市のタワーサイド歯科室でご相談ください。
歯科衛生士 藤野
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