インビザラインはむし歯になりやすい?治療前にむし歯があるケースや、治療中にむし歯になった場合の対処法
こんにちは!船橋市のタワーサイド歯科室、歯科衛生士の田中です。インビザラインで矯正治療を検討されている方の中には、むし歯に関して不安を抱かれる方もいらっしゃいます。
矯正治療開始前にむし歯がある場合はどうなるのか。治療中むし歯が出来たらどう対処するのか。そもそもインビザラインという治療法はむし歯になりやすいのか。今回はそんなインビザラインとむし歯の関係について詳しく解説します。
目次
インビザライン開始前にむし歯がある場合
まずはむし歯を治しましょう
インビザラインで矯正治療を始める前にむし歯がある場合は、事前にむし歯を治す必要があります。インビザラインは樹脂製の“アライナー”と呼ばれるマウスピースを上下の歯列全体に被せて行う矯正法で、むし歯がある状態で治療を進めることはできません。むし歯治療後には、アライナー(マウスピース)が合わなくなることもあるため、インビザラインを担当してくれる先生とむし歯の対応について矯正治療開始前によく相談しておくことが必要です。
むし歯は自然には治らない病気
比較的軽度のむし歯であれば暫く放置しても問題ないように感じるかもしれませんが、それには専門家の判断が必要です。むし歯は進行性の病気であり、放置しているとどんどん重症化していきます。始めはほとんど気付かないくらいの小さな穴であっても、数ヵ月、数年と経過していく中で穴が深くなり、やがては歯の神経まで侵されます。
マウスピースのような歯列全体を被う装置を装着すると、唾液による自浄作用や殺菌作用などが働きにくくなり、より一層むし歯が進行しやすくなります。むし歯がない状態でマウスピースを装着することに何ら問題はないのですが、むし歯がある状態では、できるだけ早く治療を受けるようにしてください。
インビザラインはむし歯になりやすい?
インビザラインは普段通りに口腔ケアできる
インビザラインは、ワイヤー矯正と比較すると明らかにむし歯になりにくい矯正装置といえます。上述したように、アライナー(マウスピース)を装着している時は、唾液による自浄作用が働きにくくなるものの、歯磨きやフロスなどの口腔ケアはアライナーを外して行えるため、矯正中だからといってむし歯リスクが大きく上昇することはありません。
アライナー(マウスピース)のケアも忘れずに
インビザラインのアライナー(マウスピース)は、1~2週間に1回くらいの頻度で交換するため、不潔な装置を長期間装着し続けるということはあり得ないのですが、毎日のケアはしっかり行う必要があります。
食事や歯磨きの際にはアライナーも必ず洗浄するようにしましょう。特に歯に密着するアライナー内面の、毎日のケアは大変重要です。歯磨きをしっかり行っても、アライナーが不潔になっていたら元も子もありません。アライナー1枚1枚の使用期間は極めて短いものの、ご自身のお口の中と同じくらい丁寧にアライナーをケアする必要があります。口腔ケアと装置のケアを両立できれば、インビザライン治療中のむし歯リスクは大きく減少します。
インビザラインで治療中にむし歯になったら
むし歯治療を優先します
インビザラインで治療中にむし歯になったら、基本的にむし歯治療を優先します。その結果、インビザライン矯正が一時中断されることになるかもしれませんが、矯正中にむし歯になったらむし歯治療に専念することが大切です。
ただ、クリニックによってはむし歯治療とインビザラインを同時進行できることがありますので、担当医とよく相談なさってください。
インビザラインで治療中のむし歯の注意点
軽症なら矯正への影響は少ない
インビザラインで治療中にむし歯になっても、それが小さい範囲にとどまっているのであれば、それほど問題にはなりません。むし歯になっている歯質を削り、コンポジットレジンを充填するだけで健全な状態を取り戻せます。早ければその日に治療が終わるため、インビザライン矯正を中断する期間も最小限に抑えられることでしょう。
むし歯ができたらすぐに報告
インビザライン矯正の通院頻度は、2ヵ月に1回程度です。従来の矯正法よりも通院頻度が少ないのですが、クリニックのシステムとして定期的にむし歯チェック、歯周病チェックを行う医院であれば、問題が生じた場合は早期に発見できるでしょう。もしもご自身で異常を見つけた場合は早めに主治医へ報告しましょう。むし歯治療を速やかに始めることが大切です。
重症化した場合の対処法
もし通院が滞り、むし歯を放置して重症化させてしまった場合は、歯に大きな穴が開きます。ケースによっては歯の神経まで侵されて、神経を取る根管治療が必要となることがあるかもしれません。
そうなると、インビザライン矯正を長期間、中断せざるを得なくなるだけでなく、歯の形が大きく変化するため、治療計画を立て直さなければなりません。アライナー(マウスピース)も作り直す必要が出てくるので、その分、治療にかかる期間も延びてしまう点に注意しましょう。
ただ、インビザラインは型取りから歯の移動のシミュレーション、アライナーの製作に至るまで、そのほとんどのプロセスがデジタル化されており、計画の修正が必要になってもそれほど長い時間はかかりません。むし歯治療さえ終われば、新しいアライナーが3週間程度で手元に届くことでしょう。
ちなみに、被せ物の装着が必要となるような重度のむし歯では、歯列の状態を変えないよう応急的な処置だけ施して、まずは矯正治療を終わらせるというケースもあります。この場合は最終的な被せ物の装着は、矯正が終わった後に着手します。
詰め物や被せ物をしている歯に要注意
むし歯の進行速度には個人差があり、一概に語ることはできませんが、1~2ヵ月でゼロの状態から重症化することはまずあり得ません。例えば、前回の診療でむし歯がまったく認められていなかったのに、次の診療で歯の神経まで侵されるのは、歯の破折によるものにほぼ限定され、めったに起こることではありません。
ただし、詰め物や被せ物を装着しているケースは例外といえます。詰め物や被せ物の下では外から見えない場所でむし歯が進行していくからです。その点も踏まえて、インビザラインで治療中は適切なセルフケアとともに、定期的なむし歯チェック、歯周病チェック、プロフェッショナルケアをクリニックで行ってもらいましょう。
まとめ
このように、インビザラインは決してむし歯になりやすい矯正法ではありません。それは矯正装置を取り外して歯磨きやフロスなどの口腔ケアを行えるからです。インビザラインで治療中にむし歯になったとしても、適切に治療することでまたすぐ矯正に戻れます。もちろん、むし歯になった時の影響はゼロではありませんが、インビザラインはその他の矯正法と比較してむし歯に対する対処がしやすい矯正システムだと言えます。
歯科衛生士 田中
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