インビザラインが失敗する5つの原因。失敗したらどうする?
こんにちは!船橋市のタワーサイド歯科室、歯科衛生士の杉山です。インビザラインによる歯並びの治療は、装置が目立たない、痛みが少ない、装置の取り外しができるなど、従来の方法に比べて沢山のメリットがありますが、「治療が失敗した」という話を耳にすることもあります。
特に、実際治療を受けた人のブログなどでインビザラインの失敗に関する記載を見ることがあるために、インビザラインによる治療に不安を感じる方もいらっしゃることでしょう。
ここではインビザラインが失敗する5つの原因と、失敗した場合にどうするのかを解説します。
目次
そもそもインビザラインとは
インビザラインとは、透明なポリウレタン製のアライナー(マウスピース)を使って歯並びを改善する矯正治療の方法です。従来の方法とは治療原理が根本から異なる上に、「治療したら出っ歯になった。」とか、「治せない症例がたくさんあり、ワイヤー矯正に比べると劣っている。」などの書き込みも見られるため、不安や疑問点も多いはずですね。
そこで今回は『インビザラインで失敗しないため』にあえて、インビザラインが失敗する原因について詳しく説明します。
インビザライン治療が失敗する5つの原因
“失敗”という言葉は主観的に使われることもあるため、実際 “失敗” として報告される内容の中には、「客観的に見てそれって失敗?」と疑問が沸くケースもあります。
この記事の中では「インビザラインの失敗」として
・当初の歯の移動計画から方法や結果がズレる
・主観的に仕上がりが気に入らない
といったことを扱います。具体的には、例えば
・途中でワイヤー矯正を併用する必要が生じた
・期待通りの見栄えにならなかった
・途中でアライナーが入らなくなった
などです。これらの失敗の原因として次の5つが挙げられます。
1.マウスピースの装着時間不足
インビザラインが失敗する最も大きな原因は、アライナーと呼ばれるマウスピースの装着時間不足です。
インビザラインは患者さんご自身が自由に着脱できる革新的な矯正装置ですが、1日20時間以上の装着が必要です。その装着時間を確保できないと適切な治療効果が得られず、インビザラインの失敗の原因になります。
2.マウスピースの交換時期のズレ
インビザラインのアライナーは1~2週間に1回、矯正歯科医に指示されたスケジュールに沿って患者さんご自身に交換していただきます。この交換時期がズレることも治療の失敗へとつながるため、十分注意しなければなりません。
もちろん1日2日程度のズレであればほぼ問題ないのですが、それが数週間、さらには1ヶ月もズレるようなことがあると、インビザライン治療そのものが失敗するリスクが生じます。
3.虫歯や歯周病になってしまった
治療期間中に十分な口腔清掃が行えず、虫歯や歯周病を発症すると、インビザラインによる矯正が失敗することがあります。なぜなら、虫歯や歯周病をしっかり管理できないと、インビザライン矯正を再開できないからです。そもそもインビザラインは取り外せる装置であるため、患者さんご自身での虫歯・歯周病予防の努力がしやすい矯正装置と言えます。
食事や歯磨きの際にマウスピースを取り外せるため、口腔衛生状態を良好に保ちやすくなっていますので、歯科医師や歯科衛生士と二人三脚でしっかり予防していってください。
また、普段装置をつけたまま冷たいお水以外の飲み物を飲んだり、マウスピースのお手入れが不十分で不潔な状態で使用していると、虫歯・歯周病のリスクが上昇してしまいますので注意が必要です。
4.リテーナー(保定装置)を付けていない
インビザラインで矯正を終えた後も、歯の移動後の保定処置が必須となります。リテーナーと呼ばれる専用の装置を装着して、歯の位置を固定しなければ後戻りが生じてしまうからです。
保定装置を途中で使用するのを止めてしまったり、そもそも付けなかったりすると、アライナーによって移動した歯が元の位置へ徐々に戻り始め、せっかくきれいに並んだ歯列が再び治療対象となり、インビザラインによる矯正が失敗となってしまいます。ですから、インビザライン矯正後も必ず保定処置まで完結させてください。
5.治療のゴールをイメージできていなかった
インビザライン矯正が治療計画通りに進み、治療のゴール地点までたどり着けたとしても、患者さんによっては「想像していた歯並びと違う」と感じることがあります。美しさに対する価値観は人によって異なるため、それを“失敗”と捉えることもあり得ます。
そうしたトラブルを防ぐためには、治療を開始する前に治療ゴールをイメージして、担当医と共有することが大切です。カウンセリングや治療計画の説明では、CG画像やイラストを用いて出来るだけわかりやすく説明しますので、気になる点があれば何でもご質問ください。
インビザライン治療に失敗したらどうする?
ここまで、インビザラインが失敗する原因について説明してきましたが、実際に失敗したらどうなるのかも気になりますよね。
治療費の返金はない※
インビザラインによる治療が計画通りに完結した場合、治療費用の返金はありません。もちろん、歯科医師側のミスが司法判断によって確定した場合には返金が受けられることがあります。
※矯正治療は、法律的には準委任契約で、「治療を行います」という契約です。「このような結果を保証します」という契約ではありません。
再治療について
インビザラインによる治療が計画通りに完結しても、患者さんが再治療を希望される場合も考えられます。抜歯をしないで矯正を行った症例については、改めて抜歯を行った矯正治療へ方針転換して再治療することがあります。
ただし、「かみ合わせは正常化されたけれども、見た目が理想とは違った」といったケースの中には、再治療による効果はあまり期待できないケースもあります。
一方、計画の乱れが生じてインビザラインが失敗した場合は、一般に再治療を行います。その際は改めて検査を行い治療計画を立案することになります。
そもそも失敗ではないこともある
インビザラインについてインターネットで情報を集めていると、ブログなどで失敗例がヒットしてきます。しかし、それらの中には“そもそも失敗ではない”ことがあります。
矯正の仕上がりに対する感想や評価は、個々人の価値観によって大きく左右されます。さらに個々人の価値観が流動的で、ご家族やご友人、矯正医以外の歯医者さんの言葉がきっかけで大きく見方が変化することも考えられます。
当初の計画通りに治療が終わり、健康的な歯並び・かみ合わせを得られたとしても、理想とは少し違うという点で失敗と捉える方もいらっしゃることが起こってしまいます。こんな時は矯正歯科医とよくご相談のうえ、解決策を模索していくことが必要となります。
まとめ
インビザラインで失敗する原因を大きく5つに分けて説明しました。適切な治療を受け、矯正歯科医の指示に従ってマウスピースを装着・交換していれば、多くの場合失敗は防げるものです。
インターネット上のインビザラインの失敗に関する情報を見たために、怖くてなかなか一歩踏み出せないという方もいらっしゃるかと思います。インビザラインにご興味があるにもかかわらず、ご不安を抱えていらっしゃるようでしたら、どうぞ当院までご相談ください。
事前に丁寧なカウンセリングを行い、治療も一歩一歩着実に、ご相談しながら進めてまいります。
歯科衛生士 杉山
最新記事 by 歯科衛生士 杉山 (全て見る)
- インビザラインプロバイダーとは? ランクが低いとダメな矯正歯科なの? - 2023/7/5
- インビザラインが向いている人・向いてない人の見分け方 - 2023/1/6
- マウスピース矯正中に喫煙できる?電子タバコやアイコスなら大丈夫? - 2022/10/4