アンカースクリュー矯正とは?その役割・痛み・期間・リスクまで徹底解説

「矯正治療でネジを埋め込むって聞いたけど、本当に必要?」「インプラントとは違うの?」「痛みはないの?」矯正治療のご相談で、こうしたご質問を受けることが増えてきました。
この“ネジ”とは、「矯正用アンカースクリュー」という一時的に使用する医療用のネジのことです。小さな医療用のネジを顎の骨に固定し、歯の動きを正確にコントロールするために使います。
今回は、矯正治療をお考えの方に向けて、アンカースクリューの役割、治療の流れ、メリット・デメリット、そしてどんなケースで使用するのかまで、タワーサイド歯科室(JR船橋駅 徒歩2分)が詳しくご紹介します。
目次
そもそも「アンカースクリュー」とは何か?
アンカースクリューとは、チタン製の非常に小さなネジ(直径約1〜2mm、長さ6〜10mm)で、矯正治療の「固定源」として使用されます。
インプラントのように永久的に顎に埋め込むものではなく、あくまで矯正治療の一時的な補助装置。矯正完了後には撤去します。
なぜチタン製なのか?
- 金属アレルギーのリスクが低い
- 生体親和性が高く、体にやさしい
- 骨と適度に馴染む(ただし結合〈オッセオインテグレーション〉は期待しない)
これらの特徴から、矯正用アンカースクリューの素材にはチタンが選ばれています。
なぜアンカースクリューが必要なのか?
矯正治療では、歯を動かす際に「支点(固定源)」が必要です。通常は奥歯や他の歯を固定源としますが、強い力がかかるとその奥歯自体も動いてしまい、思った通りの歯の動きが得られないことがあります。
アンカースクリューは、骨にしっかりと固定されて動かないため、非常に安定した支点となります。これにより、「動かしたい歯だけを、正確な方向に、計画通りに」動かすことが可能になります。
アンカースクリューはどんな症例に使われる?
矯正治療すべてに使うわけではありませんが、以下のような症例で活躍します:
- 前歯を大きく後退させたい(出っ歯の改善)
- 奥歯を後ろに動かしたい(抜歯後スペースの閉鎖など)
- 垂直的な移動(歯の圧下)が必要
- 左右非対称の歯列の調整
- 治療期間を短縮したい
症状の重さや歯の動かし方によっては、アンカースクリューを使わなければ理想的な仕上がりが得られないこともあります。
治療の流れと痛みについて
「ネジを埋め込む」と聞くと怖い?
ご安心ください。多くの患者さまが「思ったよりも簡単だった」とおっしゃいます。アンカースクリューの埋入は、局所麻酔のもとで行われ、10〜15分程度で完了します。切開や縫合もなく、出血もごくわずかです。
処置の流れ
- 1.表面麻酔(針を刺す感覚を和らげます)
- 2.局所麻酔の注射
- 3.専用器具でアンカースクリュー埋入(1〜2分で終了)
- 4.レントゲンまたはCTで確認
術後に鎮痛剤を使用する場合もありますが、ほとんどの方は服用せずに済んでいます。
メリット・デメリットの整理
メリット
-
不必要な歯の動きを防げる
特に奥歯の前方移動を抑制でき、治療計画のズレを防ぎます。 -
難しい方向への歯の移動が可能に
通常の矯正装置では難しい「奥歯の後退」や「歯の圧下」も可能になります。 -
外部装置が不要に
ヘッドギアのような見た目が気になる装置が不要になる場合があります。 -
治療の効率化・期間短縮につながる
歯の動きがスムーズになるため、結果として治療期間が短くなることもあります。 -
脱落することがある
骨質や負荷のかけ方、アンカースクリュー周囲の清掃状況などによって、脱落することがあります。通常は再埋入することが可能です。 -
感染のリスクがある
ネジの周囲に汚れがたまると炎症を起こす可能性があるため、丁寧なブラッシングが必要です。 -
歯根損傷のリスク
歯根の近くに埋入するため、誤って歯根を傷つける可能性があります。事前の慎重な位置決めが必要となってきます。
デメリット(リスク)
アンカースクリューは、矯正治療の質を飛躍的に高める装置ですが、「必ずしも必要なもの」ではありません。症例によっては従来の方法で十分な結果が得られます。
しかし、動きが難しい歯を計画通りに整えるには、アンカースクリューが“決め手”となることもあります。ご自身の治療にこのアンカースクリューが必要かどうかは、レントゲンやCT、歯型の精密検査によって診断します。不安な方は、まずは一度ご相談ください。メリット・デメリットをしっかり把握された上で、納得できる治療を一緒に選んでまいりましょう。
まとめ:矯正治療をもっとスムーズに、確実に
矯正用アンカースクリューは、治療の幅を広げ、理想の歯並びに近づけるための頼もしいサポート装置です。「痛そうで不安」「ネジって怖い」というイメージも、実際に説明を受けると和らぐことがほとんどです。
アンカースクリューを使うかどうかは、患者さんのお口の状態によって異なりますので、まずはご自身に必要かどうかを正確に把握することが第一歩です。タワーサイド歯科室では、患者さん一人ひとりの症状に合わせて丁寧なご説明とご提案を行っています。疑問や不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

斎藤 院長

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