医科では光やレーザーを用いて、肺、食道、胃、子宮頸部などの早期がんに対して治療を行う光線力学療法(PDT=Photo-Dynamic Therapy)という治療法があり、1990年頃から利用されています。 歯科においても、同様のメカニズムで抗生物質を使わない体に優しい治療法「光殺菌治療」が急速に普及しています。光感受性ジェルを細菌に浸透させ、光で殺菌するというものです。
1. 光感受性ジェルが細菌の細胞壁や膜に取り込まれる。
2. 特定の波長の光が照射されると、光感受性ジェルがエネルギーを受け取り、活性酸素を大量に発生する。
3. 活性酸素は細菌の細胞壁や膜だけを破壊し、殺菌する。
光殺菌治療は、歯周病やインプラント周囲炎といった、感染が引き起こす病変の治療に有効です。特にこのような場面で効果を発揮します。
とどめの一撃:
通常の治療の上に光殺菌治療を行うと、「とどめの一撃」としての殺菌効果が期待されます。これまでの治療方法では除去しきれない細菌を死滅させ、個人差はありますが感染の再発防止に大きく貢献します。
予防的治療の効果:
光殺菌治療は予防にも有効です。歯周病やインプラントの定期健診、矯正治療中のメンテナンスの際に予防的治療として光殺菌治療が効果を示します。
主訴 | 歯茎が腫れて痛い。歯が揺れる。 |
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状況 |
深い歯周ポケットが存在し、歯茎を触ると出血してくる。 歯の動揺もあり、顕著な歯茎の炎症が見られる。 |
治療 | 出来る限りの洗浄を行い、患部を清潔にすることを繰り返しながら、感染部分に光感受性物質を注入し、光を照射することで殺菌する光殺菌を併用しました。 |
治療期間 | 約2週間 (以後予防のためには2~4ヶ月程度毎に使用します。) |
リスク |
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治療費 |
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※ただし光過敏症の患者さんはご利用いただくことができません
感染源の除去
通常の治療を行います。根の中の掃除や、根の表面の歯石など感染源を除去します。
光感受性ジェルの注入
光感受性ジェルを、根の中、歯周ポケット、粘膜上に注入または塗ります(光感受性ジェルは少し甘い味がします)。
光殺菌
30〜10秒光を照射することで、光殺菌します。
洗浄
光感受性ジェルや死滅した細菌を洗い流します。